2021.04.30 / FOCUS

THE CHOICE

for women

TOMORROWLANDのいいもの、
オススメしたいものをご紹介。

April 30 Fri.

SPECIAL INTERVIEW

TOMORROWLAND渋谷本店にて、
4月29日(木)〜5月9日(日)で日本発のニッチフレグランスブランド 〈çanoma〉のポップアップを開催いたします。
フレグランスクリエーター・渡辺裕太さんにとって、同店はなんと初めて香水に魅了された特別な場所。
そんな思い入れのある機会に販売する自身のブランドの香水についてはもちろんのこと、
今後チャレンジしたいことなど、お話を伺いました。






çanomaファウンダー
渡辺裕太


パリを拠点に活動するフレグランスクリエーター。
日本人のための香水作りを志向。
猫とたい焼きが好き。
@canoma_parfum



INTERVIEW

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-すでにご自身のnoteで、ブランドを立ち上げるまでのさまざまな出来事を赤裸々に語っていますよね。フレグランスの世界との最初の出会いは、一体何がきっかけだったんでしょうか?


フレグランスの世界にのめり込むきっかけになったのは、まさにトゥモローランド渋谷本店でした。大学2年生の時に、ここのお店でアメリカの香水ブランド〈Creative Universe Beth Terry〉のElement of Desireという香りに出会って。今まで嗅いだことのない香りかつ自分の中で新しい気づきを感じる衝撃的なものだったんです。例えば視覚や聴覚の情報ってライブの代わりに録音音源があったり、本物の絵画の代わりにネットで写真が見られるじゃないですか。でも「香り」って、本当に嗅がないと想像もつかない世界なんだと驚きました。その体験を機に、香りに対して一気に好奇心が広がりました。

-そこから香水の仕事ではなく、金融系の会社に勤めながらも世界中の香水を集め続け、突然のフランス留学の決断で人生が一変するわけですよね。


金融機関で転職した時に、余暇を過ごす時間ができて、その時にぼんやりと自分の人生をかけてやりたいことは別にあるはずと模索していました。新しいものを探すにあたって出会ったのが、語学勉強好きな母親の部屋にたくさんあったフランス語の参考書でした。そこから日々勉強する中で、ある日曜日の晴れた昼下がりに窓辺でいつも通り勉強していたら「なんでフランス行かないの?行けばいいじゃん」って考えがスッと降りてきたんです。それで行くなら何するかなと考えたときに、素直に行き着いたのが香水でした。

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-といっても留学後、香水の道へ進むまで苦悩の連続だったとか。


語学学校とビジネススクールを経てから、ありとあらゆる香水ブランドにインターンシップの履歴書を送ったのですが、ちゃんと面接にこぎつけたのは2社だけでした。1社は大手ブランド、もう1社はブランド共同創設者しかいないような小規模なブランド。そんな2社から返事をもらって、周りの友人にも相談するとみんな大手ブランド一択だったんです。でも、自分にとってはそれが違和感だったんですよね。だってどう考えたって、いい香水を作ってるのは後者の方だったから。そのブランドこそ〈Jean-Michel Duriez Paris〉、つまり現在çanomaの調香師としても一緒に仕事をしているジャン=ミッシェル・デュリエとの出会いでした。

-まさに鼻をたよりに選んだんですね。ブランドで経験を積み、その後ご自身のブランドを立ち上げるきっかけは何だったのでしょうか?


〈Jean-Michel Duriez Paris〉でインターンが終わる頃、ほかの職への道もあったんですけど、自分に素直に向き合ったら「ブランドを作ればいいじゃん」ってスッと降りてきたんです。

-留学を決めた時と同じくスッと降りてきたんですね。


そうなんですけど、この時はもっと確信のあるものでした。現地での会社設立方法から香水業界のことまで、気づいたら自分の手の中に全部あった。そして一番重要だったのが、香りを調合してくれる人、ジャン=ミッシェル・デュリエともすごく仲良くなったことでした。それで、彼に調香をお願いしたいと伝えたら、二つ返事で一緒に始めることに。

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- いざブランドを始める時に考えたコアのブランドコンセプトを教えてください。


「いい香りをつくりたい」というところに尽きます。いい香りの定義って、それぞれの好み次第でもあるんですが、世の中の香りには善し/悪しがあると考えてます。金融機関で働いていた時から、世界の色々な香水を嗅いだ結果、世の中にはしっかりとしたストラクチャーを持ったいい香水が少ないという結論に至って。こんなに香水が好きなのに、いいと思える香りが少ないことに疑問を思ったからこそ、自分のブランドでは歴史に残る「いい香り」をつくりたいと強く思ってます。

- çanomaには4種類の香水があって、やわらかい香りからオリエンタルな香りまで楽しめますよね。


「3-17」(早蕨)の香りは、日本マーケットで一番親しまれているものです。香りの構成としては、ラベンダーやセージといったアロマティックノートと、冷たくて乾いたウッディノートが柱になっています。それを青リンゴ調の香りでふわっと包んでいるので、最初のコンタクトはやわからくて一歩中に入ると芯のある香りになってます。 一方で、「1-24」(鈴虫)は、アンバー系の香りとシダーウッディをベースに。そこにカルダモンとサフランといったスパイス、バジルのアロマティックノートが入ることで、軽さのあるオリエンタルスパイシーな香りにしています。実はこの香りは、ブランドを立ち上げる前からずっとつくりたいと思っていたイメージなんです。夏の終わりの暑くてまだジメジメしているときに、一瞬吹く冷たくて乾いた風。そういう暑さ/寒さ、湿度/乾燥の4つの要素が混ぜ合わさった切ない情景を描いてます。実際自分自身もよく使ってる香りですね。

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- そういったそれぞれのストーリーがあるけれども、ボトルのデザインや香水の名前はとてもシンプルですよね。


香水の解釈ってかたちがないからこそ、限定されずに人それぞれのものであっていいと思ってるんです。だからボトルのラベルについては、いかに前情報を与えないものにするか色々議論を重ねました。その結果行き着いたのが、「源氏香之図」。お香の世界で「組香」という香りを当てる遊びがあるんです。例えば「源氏物語」を題材にした「源氏香」では、5種類の香り×各5包を用意して、その計25包から選んだ5包の中から同じ香りだと思うものを「源氏香之図」に沿って線で繋ぎます。その図は、源氏物語のチャプターそれぞれにも付いていて、ラベルには自分のインスピレーションに近いチャプターのタイトルを選んでいます。香りの名前は、同じく前情報を与えないかというところをポイントに、試作品の回数をそのまま使ってます。将来的に、もし香りの規制変更に伴ってレシピを変えても、もとの数字から回数を重ねていけるようにもなっています。

- これからどのような香水ブランドであり続けていきたいですか?


先ほどお話しした通り、「いい香り」をつくっていくことはもちろんのこと、香水のコンテクストに則った新しい香りを追求していきたいです。最近ニッチフレグランスの中で、新しさだけを追い求めすぎて、どうしてもストラクチャーを無視した奇を衒ったものが増えてきてます。でも、それはあくまでもメインストリームに対して裏返しとしてやっているものなので、言ってしまえば、メインストリームありきの存在ですよね。本当の新しさってそういうことじゃないと思うんです。これまで培ってきたコンテクストや調香師とともに、すでにある香りに何を足していったら、よりよくなるんだろうと更新し続けることだと思ってます。そんなチャレンジをこれからも続けていきたいです。







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4月29日(木)から5月9日(日)までの期間、
トゥモローランド 渋谷本店にてフレグランスブランド〈çanoma〉のPOP UPを開催いたします。
以下の日程は、ブランドディレクターの渡辺裕太氏が在店され、
カウンセリングを通して香水をお選びいただける機会となっております。

渡辺裕太氏 在店日時
5月1日(土)12:00~18:00
5月2日(日)12:00~18:00
5月8日(土)12:00~18:00
5月9日(日)12:00~18:00

詳しくはこちらをご覧ください
INTRODUCER

TOMORROWLAND
バイヤー 増田朋子

雑貨やコスメのバイヤーを担当。
世界中の雑貨やコスメブランドを知り尽くし、探究しています。
休日はもっぱらアクティブ。趣味は相撲観戦。

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