2020.07.17 / FOCUS

TOMORROWLANDERS


vol.2 猪瀬 亮



ファッションからライフスタイルまで、
TOMORROWLANDの文化を創るヒトにFOCUS。




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vol.2 猪瀬 亮
TOMORROWLAND 渋谷本店 / MANAGER


数少ない「セールスエキスパート」の称号をもつスペシャリスト。
2000年に入社後、渋谷本店がオープンした2004年から同店に在籍し、海外でのトランクショーにも赴く。
世界のスーツ事情に精通する生粋のウェルドレスマン。


「盛夏のクラシコスタイル」

今日は7、8年前のイタリア出張時に、チェザレ・アットリーニでオーダーしたグレーのソラーロ生地を用いたスーツを着用してきました。ソラーロといえば、ベージュ地に赤糸を走らせたものが定番として知られていますが、グレーベースの色味に新鮮さを感じて選んだ思い入れのある1着です。それにリネンのドレスシャツ、凹凸感のあるネクタイを組み合わせて、素材で夏らしさを表現。通常ですとグレースーツには黒靴を合わせがちですが、ブラウンのシングルモンクを合わせることでイタリア・ナポリ的な軽快感をイメージしています。

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私は入社以来、一貫してドレス畑を渡り歩いてきたこともあり、その分野における多角的な視点での引き出しがあります。イタリアン、ブリティッシュ、アメリカンそれぞれに個性や気分があり様々なものに袖を通してきました。基本となるトラディショナル/オーセンティックなルーツをベースに、そこはかとない色気や艶をどう演出するのか...。色や素材、サイズやトレンドなどを加味してブレインストーミングするのは、今でもとても楽しい作業です。もちろん、着用する人とのマッチングが大事になりますし、セオリーに対して過不足のないウィットを入れ込むご提案が私の真骨頂。それは接客を通したセッションのような時間だと捉えています。素材や色合わせ、小物使いなどのディティールにまで手を抜かずに目を配ることで、お客さまがご自身で気付けなかった新しい一面も引き出すことが出来ると自負しています。


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「ご提案を通した価値観のチューニング」


ファッションは趣味性が強い分野ですので、否が応でも個性が出てきます。プロフェッショナルとして、右から左に自販機のような接客ではなく、お客さまの日々の暮らしに彩りが加えられるようなご提案をさせていただくよう心がけています。実際の接客時には、着用するシーンやお相手などといったTPOをお知らせいただくケースが多いですね。どんなスタイルがお好みなのかをお聞きしながらフィーリングや価値観のピントを合わせていく中で、パズルのピースがカチっとハマるような瞬間は仕事冥利に尽きます。

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「テーマによってワードローブもアップデート」


好きなスタイルや軸はブレないのですが、シーズンやディレクションテーマに沿ってムードを取り入れることは欠かせません。ちょっとしたバランスやディテールの変化でファッションの印象って大きく変わることがありますから、トライする気持ちや鮮度を求めて妙に凝り固めることがないように留意はしています。今季はコロニアルの気分でいくつかのアイテムを買い足し、気分もアップデートしました。
TPOという話もさせていただきましたが、ここ最近の自粛要請に伴うテレワークなどでも、PCの前で会議内容やテーマに沿ったスタイリングで臨んでいました。上下スウェットやパジャマではスイッチを入れる効果がないと思ったというのもありますが、このネガティブな状況を何とかポジティブに転化する契機になるような気もしたからです。SNSなどを通した接客も経験させていただいた事で、ツールは増えたとしても、その本質は揺るがないと再認識できました。それはファッションという嗜好品を通したコミュニケーションを伴う高揚感です。年齢を重ねた今だからこそ、自分が惚れ込んだものを偽りなくオススメできることの尊さ。店頭には、洋服を売る企業ではなく洋服屋としてのプライドが確かに存在しています。

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「あの人から買いたい、と思ってもらえる存在に」


私は実家がテーラーを営んでいたこともあり、幼少期より服飾に関する距離が遠くありませんでした。自分用の洋服を仕立ててもらうのが特別でもない状況下で、装うことに対する意識は自然と育まれた気がします。そんな私がファッションに関する仕事に就くのは自然の流れだったのかも知れません。 多感な学生時代はインターネットなど存在しておらず、今ほど情報が多くありませんでしたので、所謂セレクトショップのスタッフが憧れでした。その頃の洋服屋は店内に緊張感もあり、お店に行く時に何を着ていけば良いのかを考え、通い詰めて顔見知りになり、ずっと欲しかったアイテムを買えた時は認めてもらえたような気がして高揚したのを覚えています。 今日では様々なツールが進化し、多様化する中で選択肢は驚くほどに増えました。利便性が高まった今だからこそ、私は「あの人から接客を受けたい、買ってみたい」と思ってもらえる存在でありたいと考えています。例え同じモノだとしても、私が介在させてもらえるのであれば接客を通した付加価値というものを常に感じてもらえるよう、研鑽を積み重ねていきたいですね。月並みな表現で恐縮なのですが、今後もパッションを持って本気で取り組んでいければと考えています。




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Photographer / Kae Homma @kaehomma





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